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犬の麻酔とは安全?麻酔をするまでの準備とその後の流れについて
- 麻酔前の評価…麻酔を安全に実施出来る状態かを詳しく検査します。
- 絶食…胃を空にして麻酔中の吐き戻しと、吐き出したものが気管へ入ってしまうことを予防します。
- 若齢(生後3ヶ月未満)…全身の臓器の機能が未発達のため
- 高齢(7~8才以上)…各種臓器の機能が低下するため
- 短頭種…パグやシーズーなど解剖学的に鼻の穴が小さく、気管が細い犬は、呼吸抑制を起こしやすいため
- 肥満…普段から心肺機能に負担がかかっている状態のため
- 肝臓・腎臓疾患…肝臓や腎臓の機能が低下していると、薬の代謝や排泄がうまくいかず麻酔が効きすぎてしまうため
- 呼吸器疾患…肺の機能が低下していていると吸入した麻酔が効きすぎてしまうため
- 心臓疾患…もともと低下している心機能が麻酔によってさらに悪化するため
動物が安全に適切な検査・治療を受けるには麻酔が必要です。
手術・処置中の強い痛みや精神的なストレスは治療後の回復に影響を与えるので、麻酔によって痛みと意識がない状態を維持することはとても重要です。
犬では検査や治療以外でも去勢や避妊手術の際に必ず全身麻酔を行うため、麻酔は動物病院で受ける最も身近な処置の一つです。
しかし、麻酔には必ずリスクが伴うので、飼い主は麻酔について獣医師から十分な説明を受ける必要があります。
ここでは、麻酔を理解するために、その種類や流れ、麻酔前の検査の必要性、リスク要因・注意点などを解説します。
麻酔の種類
麻酔は局所麻酔と全身麻酔に分類されます。症状や健康状態に応じて獣医師が最適な麻酔方法を選択します。
局所麻酔
体の感覚を部分的に麻痺させて、痛みをやわらげたり、部分的な処置を行うために使われます。
患部やその神経の周りへの注射や、粘膜に直接塗る方法があります。
攻撃性の強い犬では難しく、おとなしい犬など使用は限られます。
全身麻酔
意識を完全に消失させ、動物が安全に確実な処置を受けられるようにします。
静脈に注射をするか麻酔薬を吸入させる方法があります。体への負担が大きいため、
全身麻酔に耐えられるかを確認するための検査が処置前に行われます。
全身麻酔中は、獣医師が心拍や呼吸、血圧などを監視(モニタリング)し、安全性を確認します。
全身麻酔の流れ
前日または麻酔当日午前
当日
麻酔前投与薬の投与
気持ちを落ち着かせ、筋肉の働きを弱める注射薬を投与して、犬の不安や恐怖心を取り除きます。
麻酔導入
注射麻酔薬を投与して速やかに意識を消失させ、麻酔状態を誘導します。
麻酔維持
気管チューブと人工呼吸器により酸素と麻酔ガスを体へ送り届け、意識と痛みがない状態を維持します。
麻酔の間は、心拍や呼吸数、体温、血圧など様々な項目をモニタリングすることで、術中の安全を確認します。
覚醒
麻酔を止めてから、犬が補助なしで起立・歩行できるように戻った状態のことです。
犬種や健康状態によって麻酔効果が切れる時間が異なるので、覚醒にかかる時間もさまざまです。
麻酔前の検査の必要性
麻酔前には必ず問診、身体検査、血液生化学(肝機能・腎機能)検査などを行い、犬の状態をよく理解しておく必要があります。
心臓や肺、肝臓、腎臓に異常が見られる場合、麻酔によって心肺機能が急激に低下したり、適切な麻酔効果が得られない、持病が悪化するなど副作用の可能性が高くなります。
また、手術による出血が正常に止まるか、貧血はないかなど血液検査は特に重要な項目となります。
麻酔前の検査の項目は、犬の年齢や体調、既往歴、手術の内容によって異なります。麻酔のリスクを最小にし、不測の事態に備えるため、麻酔前の検査は必要です。
麻酔のリスク
動物病院では安全に麻酔が投与できるように入念な検査を行います。
しかし、そこで異常がないことが麻酔時の安全性を保証するものではないことを飼い主はあらかじめ理解しなければなりません。
全身麻酔では多くの場合、心肺機能の抑制による血圧低下や呼吸抑制が起こります。
また、下記のような犬では麻酔時の心肺機能に対するリスクが高くなることが報告されています。
獣医師は一頭一頭で異なるリスク要因を検査によって可能な限り確認してから、麻酔を行っています。
麻酔の注意点
麻酔前
全身麻酔の前は絶食となります。麻酔中は胃の内容物が逆流し、誤って気道に入り呼吸困難や窒息の原因になる場合があるからです。
水を飲んでよいかどうかは病院の方針によって異なります。
担当の獣医師の指示に従ってください。
麻酔後
意識と心肺機能が正常に戻り、自力で歩けるようになった場合に退院となります。
しかし、退院後も麻酔や手術後の痛みの影響で元気・食欲がない場合があります。
一般的に、痛みは全身麻酔の覚醒後4~9時間が最も強く、少なくとも24時間は痛みが続きます。
処方された痛み止めのお薬をきちんと飲ませるようにしてください。
まとめ
麻酔は犬が安全かつ適切に治療や検査を受けるためには不可欠です。
麻酔のリスクは全ての犬で異なります。
しかし、飼い主の日頃の観察と動物病院の詳細な検査によって、麻酔のリスクを軽減することができます。
麻酔が必要な検査や処置をより安心して受けられるよう、心配なことがあれば担当獣医師に相談しましょう。
動物が安全に適切な検査・治療を受けるには麻酔が必要です。
手術・処置中の強い痛みや精神的なストレスは治療後の回復に影響を与えるので、麻酔によって痛みと意識がない状態を維持することはとても重要です。
犬では検査や治療以外でも去勢や避妊手術の際に必ず全身麻酔を行うため、麻酔は動物病院で受ける最も身近な処置の一つです。
しかし、麻酔には必ずリスクが伴うので、飼い主は麻酔について獣医師から十分な説明を受ける必要があります。
ここでは、麻酔を理解するために、その種類や流れ、麻酔前の検査の必要性、リスク要因・注意点などを解説します。
麻酔の種類
麻酔は局所麻酔と全身麻酔に分類されます。症状や健康状態に応じて獣医師が最適な麻酔方法を選択します。
局所麻酔
体の感覚を部分的に麻痺させて、痛みをやわらげたり、部分的な処置を行うために使われます。
患部やその神経の周りへの注射や、粘膜に直接塗る方法があります。
攻撃性の強い犬では難しく、おとなしい犬など使用は限られます。
全身麻酔
意識を完全に消失させ、動物が安全に確実な処置を受けられるようにします。
静脈に注射をするか麻酔薬を吸入させる方法があります。体への負担が大きいため、
全身麻酔に耐えられるかを確認するための検査が処置前に行われます。
全身麻酔中は、獣医師が心拍や呼吸、血圧などを監視(モニタリング)し、安全性を確認します。
全身麻酔の流れ
前日または麻酔当日午前
- 麻酔前の評価…麻酔を安全に実施出来る状態かを詳しく検査します。
- 絶食…胃を空にして麻酔中の吐き戻しと、吐き出したものが気管へ入ってしまうことを予防します。
当日
麻酔前投与薬の投与
気持ちを落ち着かせ、筋肉の働きを弱める注射薬を投与して、犬の不安や恐怖心を取り除きます。
麻酔導入
注射麻酔薬を投与して速やかに意識を消失させ、麻酔状態を誘導します。
麻酔維持
気管チューブと人工呼吸器により酸素と麻酔ガスを体へ送り届け、意識と痛みがない状態を維持します。
麻酔の間は、心拍や呼吸数、体温、血圧など様々な項目をモニタリングすることで、術中の安全を確認します。
覚醒
麻酔を止めてから、犬が補助なしで起立・歩行できるように戻った状態のことです。
犬種や健康状態によって麻酔効果が切れる時間が異なるので、覚醒にかかる時間もさまざまです。
麻酔前の検査の必要性
麻酔前には必ず問診、身体検査、血液生化学(肝機能・腎機能)検査などを行い、犬の状態をよく理解しておく必要があります。
心臓や肺、肝臓、腎臓に異常が見られる場合、麻酔によって心肺機能が急激に低下したり、適切な麻酔効果が得られない、持病が悪化するなど副作用の可能性が高くなります。
また、手術による出血が正常に止まるか、貧血はないかなど血液検査は特に重要な項目となります。
麻酔前の検査の項目は、犬の年齢や体調、既往歴、手術の内容によって異なります。麻酔のリスクを最小にし、不測の事態に備えるため、麻酔前の検査は必要です。
麻酔のリスク
動物病院では安全に麻酔が投与できるように入念な検査を行います。
しかし、そこで異常がないことが麻酔時の安全性を保証するものではないことを飼い主はあらかじめ理解しなければなりません。
全身麻酔では多くの場合、心肺機能の抑制による血圧低下や呼吸抑制が起こります。
また、下記のような犬では麻酔時の心肺機能に対するリスクが高くなることが報告されています。
- 若齢(生後3ヶ月未満)…全身の臓器の機能が未発達のため
- 高齢(7~8才以上)…各種臓器の機能が低下するため
- 短頭種…パグやシーズーなど解剖学的に鼻の穴が小さく、気管が細い犬は、呼吸抑制を起こしやすいため
- 肥満…普段から心肺機能に負担がかかっている状態のため
- 肝臓・腎臓疾患…肝臓や腎臓の機能が低下していると、薬の代謝や排泄がうまくいかず麻酔が効きすぎてしまうため
- 呼吸器疾患…肺の機能が低下していていると吸入した麻酔が効きすぎてしまうため
- 心臓疾患…もともと低下している心機能が麻酔によってさらに悪化するため
獣医師は一頭一頭で異なるリスク要因を検査によって可能な限り確認してから、麻酔を行っています。
麻酔の注意点
麻酔前
全身麻酔の前は絶食となります。麻酔中は胃の内容物が逆流し、誤って気道に入り呼吸困難や窒息の原因になる場合があるからです。
水を飲んでよいかどうかは病院の方針によって異なります。
担当の獣医師の指示に従ってください。
麻酔後
意識と心肺機能が正常に戻り、自力で歩けるようになった場合に退院となります。
しかし、退院後も麻酔や手術後の痛みの影響で元気・食欲がない場合があります。
一般的に、痛みは全身麻酔の覚醒後4~9時間が最も強く、少なくとも24時間は痛みが続きます。
処方された痛み止めのお薬をきちんと飲ませるようにしてください。
まとめ
麻酔は犬が安全かつ適切に治療や検査を受けるためには不可欠です。
麻酔のリスクは全ての犬で異なります。
しかし、飼い主の日頃の観察と動物病院の詳細な検査によって、麻酔のリスクを軽減することができます。
麻酔が必要な検査や処置をより安心して受けられるよう、心配なことがあれば担当獣医師に相談しましょう。