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犬のてんかんの原因と症状について
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    てんかんとは脳の障害が原因で、けいれん(筋肉に異常な収縮が起きて体をガクガクと震わせること)や意識消失などの症状を突発的に何度も繰り返す病気です。

    このようなてんかんによって突然起きる症状を「てんかん発作」と言います。初めて愛犬の発作を目にすると、ショックを受ける方が多く、適切な対応ができない場合があります。

    ここでは犬のてんかんの原因や症状について解説していきます。

    てんかんの原因

    脳の組織に病変がある場合と原因が不明な場合の主に2つに分類されます。

    1    症候性てんかん

    脳の病変によって、てんかん発作が引き起こされる場合です。脳の神経細胞を壊したり傷つけるものが原因になります。

    頭部外傷

    脳腫瘍…髄膜腫、神経膠種など
    脳奇形…水頭症、くも膜嚢、大脳皮質形成障害など
    脳血管障害…脳出血、脳梗塞など
    脳炎…ウイルスや細菌、寄生虫などの病原体によるものなど
    低酸素症
    先天性代謝疾患

    2    特発性てんかん

    特発性とは原因が分からないという意味です。
    脳に明らかな病変がないにもかかわらず、てんかん発作が起きます。

    これは遺伝的素因が関与していると考えられています。
    特にビーグル、ダックスフンド、シェットランドシープドック、ゴールデンレトリバーなどの犬種で起こりやすいと言われています。

    てんかんの症状

    症状

    てんかんの特徴的な症状は、けいれんなどの発作を繰り返すことです。

    一回の発作は多くの場合、5分以内に止まります。
    しかし、次の発作が起きる時間の間隔はさまざまです。

    発作の種類は、発症する部位と意識の有無によって大きく2つに分けられます。

    1    部分発作

    意識はあるが、足や顔面の一部にだけけいれんが起きます。
    また、ハエを捕まえているかのように空中を噛む動作(ハエ噛み行動)をします。

    2    全身発作

    全身がけいれんを起こし意識がない状態です。
    犬のてんかんで多く見られ、飼い主がよく目にする症状です。

    全身発作には段階的な症状が見られます。

    発作前期…不安そうにうろうろしたり、どこかへ隠れようとします。
    また、息を荒げる、鼻を鳴らす、よだれや嘔吐の症状がでます。

    発作…意識が消失し、四肢を伸ばした状態で硬直します。
    その後、体をガクガクと震わせ、けいれんや四肢の遊泳運動を発症します。
    また、呻いたり、失禁や脱糞をすることがあります。

    発作後期…通常5分ほどで症状が回復し、徐々に意識を取り戻します。
    意識の完全な回復には1時間程度要することがあります。

    ※発作が10分以上持続する場合は、すぐに動物病院に連れて行く必要があります。
    この場合、犬は発作から回復しないことがあり、処置が遅れると命にかかわる危険な状態となります。
    こうした持続性の発作に対しては、獣医師による緊急的な処置が必要になります。

    発作時の対処法

    全身性の発作を初めて見ると、飼い主はパニックになってしまう可能性もあります。
    しかし、発作が起こったときには落ち着いて以下のことに注意しましょう。
     

    • 顔の周りは絶対に触らない。
    • ぶつかると危ないものをどける。
    • 発作の時間を測るまたは動画にとる。
    • 発作が止まった後の状態をしっかり確認する。
    • 発作が10分以上継続する場合は、動物病院へ連絡する。

    てんかん発作は脳が過剰な興奮状態にあるため、抱きあげたり必死に呼びかけたりしても治りません。
    また発作中は意識がないため噛まれる可能性があり、噛む力も非常に強くとても危険です。

    てんかんの治療方法

    治療方法

    てんかんの治療は基本的に抗てんかん薬によって発作をコントロールします。
    症候性てんかんの場合は、原因治療と並行して行われます。

    特発性てんかんの場合は原因が不明のため、投薬治療が一生涯必要になります。

    発作をコントロールできるようになれば、投薬の間隔をあけることも出来ますが、必ず獣医師の指示に従いましょう。
    症状がないからといって急に投薬をやめると、以前より強い発作が起きることが多く、命に関わるため危険です。

    また、継続的な投薬のためには、血液検査などの定期的な健康診断が必要になります。

    まとめ

    てんかんは、どの犬でも起こりうる病気のひとつです。
    てんかん発作は突然起きますが、発作から回復するまでは慌てず注意深く観察し、病院で状況を説明できるようにしておきましょう。

    発作の回数や時間は、治療方針を立てるための重要な情報となります。

    投薬治療を開始した場合は、必ず回数と用量を守ってください。
    発作を抑えるためには、経過観察をしながら、薬の種類や投与量を調整しなければならない場合があるため、定期的に動物病院を受診してください。

てんかんとは脳の障害が原因で、けいれん(筋肉に異常な収縮が起きて体をガクガクと震わせること)や意識消失などの症状を突発的に何度も繰り返す病気です。

このようなてんかんによって突然起きる症状を「てんかん発作」と言います。初めて愛犬の発作を目にすると、ショックを受ける方が多く、適切な対応ができない場合があります。

ここでは犬のてんかんの原因や症状について解説していきます。

てんかんの原因

脳の組織に病変がある場合と原因が不明な場合の主に2つに分類されます。

1    症候性てんかん

脳の病変によって、てんかん発作が引き起こされる場合です。脳の神経細胞を壊したり傷つけるものが原因になります。

頭部外傷

脳腫瘍…髄膜腫、神経膠種など
脳奇形…水頭症、くも膜嚢、大脳皮質形成障害など
脳血管障害…脳出血、脳梗塞など
脳炎…ウイルスや細菌、寄生虫などの病原体によるものなど
低酸素症
先天性代謝疾患

2    特発性てんかん

特発性とは原因が分からないという意味です。
脳に明らかな病変がないにもかかわらず、てんかん発作が起きます。

これは遺伝的素因が関与していると考えられています。
特にビーグル、ダックスフンド、シェットランドシープドック、ゴールデンレトリバーなどの犬種で起こりやすいと言われています。

てんかんの症状

症状

てんかんの特徴的な症状は、けいれんなどの発作を繰り返すことです。

一回の発作は多くの場合、5分以内に止まります。
しかし、次の発作が起きる時間の間隔はさまざまです。

発作の種類は、発症する部位と意識の有無によって大きく2つに分けられます。

1    部分発作

意識はあるが、足や顔面の一部にだけけいれんが起きます。
また、ハエを捕まえているかのように空中を噛む動作(ハエ噛み行動)をします。

2    全身発作

全身がけいれんを起こし意識がない状態です。
犬のてんかんで多く見られ、飼い主がよく目にする症状です。

全身発作には段階的な症状が見られます。

発作前期…不安そうにうろうろしたり、どこかへ隠れようとします。
また、息を荒げる、鼻を鳴らす、よだれや嘔吐の症状がでます。

発作…意識が消失し、四肢を伸ばした状態で硬直します。
その後、体をガクガクと震わせ、けいれんや四肢の遊泳運動を発症します。
また、呻いたり、失禁や脱糞をすることがあります。

発作後期…通常5分ほどで症状が回復し、徐々に意識を取り戻します。
意識の完全な回復には1時間程度要することがあります。

※発作が10分以上持続する場合は、すぐに動物病院に連れて行く必要があります。
この場合、犬は発作から回復しないことがあり、処置が遅れると命にかかわる危険な状態となります。
こうした持続性の発作に対しては、獣医師による緊急的な処置が必要になります。

発作時の対処法

全身性の発作を初めて見ると、飼い主はパニックになってしまう可能性もあります。
しかし、発作が起こったときには落ち着いて以下のことに注意しましょう。
 

  • 顔の周りは絶対に触らない。
  • ぶつかると危ないものをどける。
  • 発作の時間を測るまたは動画にとる。
  • 発作が止まった後の状態をしっかり確認する。
  • 発作が10分以上継続する場合は、動物病院へ連絡する。

てんかん発作は脳が過剰な興奮状態にあるため、抱きあげたり必死に呼びかけたりしても治りません。
また発作中は意識がないため噛まれる可能性があり、噛む力も非常に強くとても危険です。

てんかんの治療方法

治療方法

てんかんの治療は基本的に抗てんかん薬によって発作をコントロールします。
症候性てんかんの場合は、原因治療と並行して行われます。

特発性てんかんの場合は原因が不明のため、投薬治療が一生涯必要になります。

発作をコントロールできるようになれば、投薬の間隔をあけることも出来ますが、必ず獣医師の指示に従いましょう。
症状がないからといって急に投薬をやめると、以前より強い発作が起きることが多く、命に関わるため危険です。

また、継続的な投薬のためには、血液検査などの定期的な健康診断が必要になります。

まとめ

てんかんは、どの犬でも起こりうる病気のひとつです。
てんかん発作は突然起きますが、発作から回復するまでは慌てず注意深く観察し、病院で状況を説明できるようにしておきましょう。

発作の回数や時間は、治療方針を立てるための重要な情報となります。

投薬治療を開始した場合は、必ず回数と用量を守ってください。
発作を抑えるためには、経過観察をしながら、薬の種類や投与量を調整しなければならない場合があるため、定期的に動物病院を受診してください。

著作者プロフィール

獣医師 越後谷瞳

日本大学生物資源科学部獣医学科卒業 飼い主さんと一緒に愛犬の健康を考えていける診察を心がけています。 プライベートは二児の母親で、育児と仕事の両立に奮闘中。 ペットスペース&アニマルクリニックまりも https://petspace-marimo.com

2020年04月13日

犬の病気

獣医師 越後谷瞳

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